宇宙における生命の発生する条件として液体の水というものがある。有機物を溶かし濃縮する工程を生み出せるからだ。
太陽系でもそれは同じとはいえ、超高圧高音環境下で単細胞であれ、生み出される可能性を考える時、氷の直下に膜となり、すだれの様に垂れ下がる有機体がイメージにうかんだ。
平べったい油膜にサンドされた有機体の繊維ネットワーク。
徐々に浮力で位置を置き換えつつ何億年も掛け氷の中を浮上していく代謝膜。
氷の中でしか生命を維持できない細胞となった巨大単細胞生物というのも生命のあり方の可能性として面白いのではないか。
進化と適応。生存競争。
そのような基準からすると、とても静的な生命だろうと考えた。
そのように考えてみると地球の生命発生も巨大な細胞と、多種多様な有機体を内包した環境下で発生してもおかしくないなと考えた。
小さな細胞にコンパクトにまとめるということ自体が生命の発生初期にはナンセンスだろうと。
コアが桁違いの単細胞生命体を蠱毒の様にもしくは閉鎖環境下で競い、分解し、或いは利害の一致により共生連携し、統計学上の有利を積み上げていけば良いのだと思い至った。
例えば2つのタンパク塊が接合し、アミノ酸配列を綱引きのように引っ張りあってみてはどうだろう。
外部からの衝突によってギーコギーコと。アミノ酸列を引き剥がされたコアは、自らのコアを殺させはすまいと内部にアミノ酸を取り入れ外殻を修復しようとするだろう。
初期生命という機構体は意外に巨大なスケールの可能性が高い。