泣いた赤鬼
人間が思い描いた鬼という存在を、青鬼が形にすることで現実化させてしまった悲劇の話。
赤鬼の思い描いた人間と仲良くなりたいという世界も実現した。
赤鬼の涙。青鬼の存在が描いた世界の、その先の結果を知りつつ。避けることの出来なかった後悔である。
人を騙し、自分を騙し、外に罪を押し付けて、誰に赦されることなく、生きる。
自らにはごまかしの効かないその罪を受け入れて、それとともに同時に背負い、許す存在として青鬼はあった。
青鬼は罪という存在を象るとともに、赦しの存在であった。
罪を憎んで人を憎まずとは言うが。
赤鬼の本質すら理解出来ず、悲劇の下にしか価値を見出すことの出来なかった人間の罪は誰が背負ったのか?
青鬼は贖罪の羊である。すべての罪を背負い野に放たれた。
一切皆苦のこの世にて、その罪をすべて背負わせた。
赤鬼の苦しみを理解する青鬼のありようを、赤鬼のその涙を通して私達は見た。
私達は赦されることもなく、赦すこともなく生きる。
人間達の愚かさ、その罪を知りつつ。